北京で見かける北朝鮮
日本では北朝鮮は「怖い国」という印象が強いらしいが、中国と北朝鮮に国交があるため、北京在住の私にとって北朝鮮は割合身近な存在である。北京には北朝鮮投資の朝鮮料理レストランが数軒あり、私もたまに利用する。平壌の良家出身と思われる綺麗なお嬢さんたちがサービスする心地よい店で、もちろん身の危険を感じたことはない。北京空港では出国手続きや乗継ぎをする北朝鮮の人を見かける。欧米行きに乗り換えるスポーツ選手や、北朝鮮に戻る粗末な服を着た日に焼けた背の低い男性の団体だ。後者は多分労務輸出の労働者であると思われる。中国や韓国、中東に向けて大量の労務輸出があると聞いている。あくまで私の個人的見解だが、北朝鮮の労務輸出人員のレベルは決して低くないと思う。私は北京の日本語専門書店で、「中国語の通訳をして欲しい」と日に焼けた背の低い北朝鮮の男性に話し掛けられたことがある。貧しい身なりをしながらも、昭和30年代を思わせる古典的な美しい日本語を話す教養にびっくりしたものだ。北京で働く中国人朝鮮族も少なくないので、彼等から北朝鮮の親戚の話を聞くこともある。核実験があった関係で昨今では控えられているようだが、中国人の北朝鮮旅行も決して少なくない。
1.2年前だが中国の地元紙に「辺境地域に北朝鮮経営のカジノがあり、朝鮮自治区の役人が公金で豪遊したことが、摘発された。」というニュースが掲載された事もある。中国では北朝鮮は「賭博、麻薬、ブランドタバコのニセモノ」で知られており、それが外貨獲得の手段になっているようだが、賭博も麻薬もタバコも昔からあるもので「それだけ産業が発達していない」と見ることもできる。北朝鮮レストランのパンフレットで宣伝される北朝鮮の施設は時代遅れであるし、みやげ物もキムチや漢方薬やお酒などばかり。北朝鮮は海外からの援助をすべて軍事にまわしていると聞くが、それにしても基礎産業力がなければ高度な軍事技術レベルに達するのに大きな困難があるはずだと、私は思うのだが。(2006/44/21 第1740号)
