中国の技術力
「秀水街」といえば、多くの人は偽ブランドを思い出すと思うが、現在では「秀水街」はじめ、北京の服装市場で偽ブランドのバックや財布などを見かけることはできない。中国企業による知的財産権侵害が海外でも話題になった煽りを受け、一昨年末くらいから工商局の取締りが強化され、少しずつニセモノが店頭から消えていったのである。実は昨年、ニセモノが店頭から消える前に、偽フランスブランドの革バックを購入した日本人の友人がいた。この偽物、金具の部分にしっかりブランド名が刻まれているが、意匠権は存在しないので、金具さえ付け替えれば使用が可能と踏んだよう。つまり中国のバックは、日本人から見て、偽のブランド名を冠さなくても買いたいほどの品質レベルに達しているのである。6,7年前からウオッチングしているが、品質レベルは年々向上しており、最後に見かけた昨年には、ヨーロッパで販売されているノーブランドの革バックと殆ど変わらないレベルに達していた。しかしフランスブランドのバックは日本円で60万円程、中国の高品質偽物はたったの7千円と、価格は雲泥の差。知的財産権侵害は違法ではあるが、品質にも安全性にもそれほど大きな差がないにも関わらず、価格差がこれだけあるということに、驚きを感じる。フランス人がバカンスを満喫しているのを見聞きしているが、働き詰めの我々アジア人が、フランスブランドを嬉々として購入し、フランス人のバカンスやレジャーを支えているのは、ちょっとどうなのかしらと思う。しかしそう考えているのは私だけでなく、実はヨーロッパでは、中国製の靴やバックに押されて職人が失業する事態が発生しているらしい。それに不満をもったヨーロッパの職人達が、中国から輸入された靴のコンテナを焼き払う事件も発生したそうだ。この事実からは、中国の技術力がヨーロッパに受け入れられる程向上しており、更に価格という強みにより、脅威になっているということが理解できる。「我々日本も品質と安全性が高く、価格が合理的な製品を作り上げなければ、競争に勝てない」と、中国の現場を見ながら、強く思うのである。(2006/10/03 第1735号「国際貿易」)
