« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

2006年7月14日 (金)

口喧嘩

 北京の街角で、急いで青信号を渡っていたところ、高級乗用車が勢いよく左折してきた。あまりに突然自動車が視界に入ったので、私と中国人数人は躊躇して足を止めてしまい、その結果自動車が止まり、「行くならいくとはっきりしろ!」と運転手が怒鳴る。一緒に渡っていた数人が「こっちは青信号だから渡っているのよ、何が悪い!あんたこそ、交通違反のくせに!」と中国語で怒鳴りかえす。

――実はこういった風景は、中国では日常茶飯事である。何か問題が起こった場合、多くの中国人は大きな声で主張するようである。例えば車の接触事故が起きれば、当事者が車から降りて、他の通行人などお構いなしに大声で口喧嘩をしているのを、しばしば見かけるし、また中国の国内線飛行機の出発が遅れたときなど、乗客が機内で異口同音に、しかも大きな声でクレームをつけ、機内が大騒ぎになることもしばしばあるようだ。

中国に来たばかりの頃は、中国のこうした風景をみるにつけ、「何も、こんな大きな声で主張しなくっても。」と思っていた。しかし滞在年数が長くなるにつれて、最近では、「実はその場で言いたいことを言うこと、それができる環境にあることは、素晴らしいことなんじゃないか?」と思うようになってきた。

日本ではこうはいかない。日本で同じことをやったら、口喧嘩ではすまなくなり、傷害事件に発展することも少なくない。中国では口喧嘩はめったに手の出る喧嘩に発展しない。だから中国の社会には、言いたいことを他人に主張し、受け取る側も他人に主張があることを認め、とりあえずは聞いてみる、というよい気風があるように思える。また口喧嘩をしてしまえば、その後はすっきり忘れて、後に引かないことも多い。ある程度、言いたいことをいえれば、ストレスも解消されるし、少しでも楽しい生活が送れるものだ。口喧嘩は中国において、合理的なコミュニケーションの手段となっていると、私は感じている。(2006/07/11 第1724号「国際貿易」)

« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

2009年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
フォト